行動管理から営業戦略まで、
マルチに使って企業攻略へ
当社は、不動産仲介会社から中古マンションを仕入れた後、それらをリノベーションしてお客様に販売することを主なビジネスとしています。条件のいい物件を多く仕入れることは販売増に直結するので、仕入れ営業メンバーを多く配置しているのが特徴です。
販売するよりも仕入れをするほうが簡単そうに思えますが、駅近などの条件の良い物件はなかなか売りに出ません。また、そうした出物があってもすぐに買い手がつくので、仕入れという仕事は簡単ではありません。日頃から大手の不動産仲介会社から地場の小規模不動産会社までを数多く回って担当者との人間関係を築き、彼らから良い情報を仕入れられるかどうかが、営業マンの腕の見せ所です。
私は流通事業部の責任者ですが、指導育成という立場から販売メンバーのみならず仕入れ営業メンバーもマネジメントしています。1物件を成約に結び付けることは、容易なことではないので、経験の浅いメンバーには「まず、取引先に会いに行こう」と声がけをしています。ただ、全てに同行できるわけではないので、それぞれのメンバーがどこにどれだけ回れているのかまでは把握することはできません。そこで、以前は交通系ICカードの利用履歴を使って個々の行動状況をチェックしたことがありました。やはり、成績の良いメンバーは多くの駅で降りて熱心に活動しているのでしょう、ICカードの利用履歴が多い傾向がみられました。
しかしICカードの場合、単純に駅で乗り降りすればカウントされるので、実際に会社を訪問して人に会っているかまでは把握できません。傾向をみることはできましたが、それ以上の情報は得られないため、あくまで参考程度にとどまっていました。そうした時に、当社で営業メンバーの名刺データを蓄積・活用するためにSansanを導入するというニュースが伝わってきたのです。ただその時は、私も含めてみんな「名刺管理が楽になるのかな」と思ったぐらいでしたね。
そうやってしばらくは名刺管理を中心に運用していたのですが、1年ほど前から、Sansanは名刺管理だけでなく、マネジメントにおける活用としても、その幅が広がりました。きっかけは、当社の横浜本社の部長と電話で話をしているときでした。「ウチには朝早くから出かけていって1日で何件も外回りをしてくる営業マンがいて、Sansanの名刺登録数がすごく多いんだ」と言うのです。「そうなんだ」と返事をしながら、「これは使えるかもしれない。」と期待が膨らみました。早速、営業メンバーの名刺数をチェックしてみました。すると、成績の良いメンバーほど名刺登録数が多いことが明らかに。「やはり個人の成績と名刺登録枚数は連動するんだ」と期待は確信に変わりました。感覚ですが、営業成績のよい営業メンバーの名刺登録数は、他メンバーより2~3割は多いのではないでしょうか。
それ以降、営業会議の場で「成績を上げるには、まずSansanの名刺登録件数を上げることが近道だ」と声がけをするようになりましたね。
私のこうした声がけに対しては、「過去に名刺交換をしているので、今さら名刺は貰わないけれど、担当者にはちゃんと会いに行っている」という意見もあります。もちろん、面会を重ねることで関係性を深めることは大事です。しかし、同じ人ばかりに会いに行くだけでは不十分です。新たな成約に繋げるために重要なことは、いかに”新規取引先を増やせるか”です。関係性が構築できているところであれば、会いに行くことはそんなに難しいことではありません。
一方、面識のないところに行くことは簡単なことではありません。ただし、一度名刺を交換することさえできれば、それだけ営業チャンスは広がります。また、未開拓先で名刺交換をしてから関係性を築いていく過程で、恥をかいたり揉まれたりしながら営業センスは磨かれます。自ら厳しい世界に挑戦していくことで実力がついてくるのです。そういう意味で、新たな名刺を獲得することには大きな意義があると考えています。
Sansanは新規訪問件数を可視化するだけでなく、営業メンバーの動きを確認し、戦略の材料にも活用しています。例えば、日頃から付き合いのある大手不動産仲介会社の店舗ごとの名刺を表示してみて、A店舗は10枚、B店舗は10枚あるのにC店舗は1枚しかなかったら、「C店舗は開拓できてないね」と見落としていた穴を発見できます。そのあと組織ツリーや経歴画面をチェックし「A店舗の◯◯さんは2年前にC店舗から異動してきた人だから、誰か紹介してもらえるかもしれない」といったように、戦略を練ることができます。人脈は可視化できるので、後は使いようです。
現場での戦略だけでなく、役職者クラスや経営層などの人脈を、営業メンバーが積極的に活かすことも重要だと考えています。実は、私のような役職者クラス同士は顔見知りの仲なのに、それを知らずに現場の営業メンバーが地道な営業活動を重ねているというようなことは少なくないのです。もしそこで、「大嶋部長がご存知の◯◯部長に一声をかけてもらえないでしょうか」と言われれば、ボトムアップとトップダウンを組み合わせたサンドイッチのような方法で企業を攻略していくことができますよね。組織ツリーを使えば、それができることは分かっているので、そのためにも今、私もさまざまな会社の役職者クラスや経営層の人脈を広げているところです。
マネジメントにおけるSansanの活用は、まだまだ始まったばかりです。本格活用していくために、「100枚名刺を集めたら、大体1件成約できる」といった指標の確立をするのが次のテーマかなと思っています。まだ分析までには至っていませんが、名刺数と成約件数に相関関係があるのは確か。いつか新入社員の教育プログラムに組み込めるような数値を出せたらいいですね。
カスタマーサクセス部 安野