sansan
社名
大谷塗料株式会社
事業内容
高級木工塗料の製造・販売
資本金
6,150万円
設立
1950年
PROFILE
可部 匡彦 さん
大谷塗料株式会社
総務課長
創業85年の歴史ある会社で、前例のない業務改革を推し進めた可部さん。社内の「人」と「人」をつなぐ架け橋となり、世代交代に向けた顧客情報を承継するための基盤づくりを実現しました。休日はまず掃除をすることが1日のルーティン。身の回りを整理整頓し、カラダと心をリフレッシュさせるためにウォーキングを行い、仕事への英気を養っているそう。
間近に迫る世代交代。
記憶ベースの情報に感じた危機感
業務改善を任務に、
要望を吸い上げるフローを構築

当社は、家具などの高級木工に特化した塗料を製造しているメーカーです。日本国内はもちろんですが、台湾・インドネシア・ミャンマーなど海外展開もしています。私は、前職では銀行の営業をしていましたが、ご縁があり現在の会社へ入社しました。

入社後は総務担当者として、大阪本社から東京支店や名古屋支店、熊本工場の各拠点に出向き、業務改善を担当することとなりました。当社の85年の歴史の中で、総務として大阪本社から熊本の工場へ定期的に出張するのは私が初めてのこと。当初は、現場の社員とコミュニケーションを取るのに苦労しましたが、同じ作業服を着て働き、同じ釜の飯を食べ、生活を共にすることで徐々に信頼を得ていきました。最初は熊本弁にもなじめませんでしたが、現場の社員との会話の中で少しずつ理解できるようになりました。

このように実際の現場に赴くと、現場の社員から多数の業務改善要望を受けます。しかし、現場の経験が浅いこともあり、すべての要望を理解して本社に持ち帰るのは困難でした。そこで、業務改善要望を書面で申請してもらうフローを作り、申請されたものを本社で検討することにしたのです。これまでは口頭で伝えることが主だったので、インセンティブを社員に還元する制度も併せて整えました。これによって、1年間で200件もの改善要望が集まりました。その中で営業課長から上がってきたものが、人と人とのつながりがわかるSansanを導入してほしいというものでした。

可視化されず埋もれた85年の歴史を残したい。
決裁に足掛け7ヵ月、導入をついに勝ち取る

創業85年と歴史ある当社ですが、会社の財産である取引先の情報については、ほぼ全てが担当者の頭の中にありました。私は、入社当初よりデータとして会社に蓄積されていないことに危機感を抱いていました。さらに、取引先と過去にどのようなやり取りがあったかについての情報もほぼ残されていなかったのです。幅広い世代が働いている会社において、世代交代が間近に迫っており、このタイミングで情報を蓄積しなければならないと思いました。

そうした状況と要望があり、導入を本格的に検討することに。スキャンをするだけで名刺をクラウド上で管理できる点はもちろんですが、社員が誰といつ会い、どんなやり取りをしたのかの記録が残せるコンタクト機能に非常に興味を抱きました。また、60歳以上が全社員の1/4を占める当社で、操作画面のシンプルさと使いやすさも決め手となりました。これがあれば、会社の情報資産をうまく受け継ぎ、世代交代が可能だと確信しました。

名刺管理と顧客情報の管理が同時にでき、使い勝手も良いシステムは、まさに当社が求めていたものでした。過去のやり取りやつながりは、お金では買えない大切なものです。このタイミングで絶対に導入する必要があると一念発起し、決裁まで足掛け7カ月。何度突き返されても、信念は揺らぎませんでした。それだけSansanの導入に価値を見いだしていたのです。また、負けず嫌いという私の性格もありましたね。決裁権者である社長・副社長に、いかに当社にとって導入が有用であるか訴えた結果、やっと決裁が下りたのです。

戦略的な体制で進めた環境づくり。
コンタクトの活用で現れ始めた会社の変化
導入時のルールはシンプルに。
利用定着のため各現場にリーダーを配置

Sansanの導入後には、「新たに名刺交換した場合は当日中に名刺をスキャンし、コンタクト履歴を入力すること」「既に名刺交換している場合も、コンタクト履歴を入力すること」の2点を全社員に周知しました。また、各拠点において、操作に抵抗がない社員や指示・指導が可能な社員をリーダーとして選出。私がリーダーに指示を出し、リーダーがその他の社員を指導するという方法で、スムーズに指導が行き渡るよう工夫しました。

当社は社員の年齢層も幅広いため、世代ごとにITリテラシーにも大きな差があります。そこで、10~30代、40~50代、60代以上とグループ分けし、それぞれのレベルに合わせて教育を進めました。どのような点にメリットを感じるかも世代によって変わってくるので、グループ分けをすることによって、各世代の視点に合わせられたことは大きなポイントだったと思います。

地道な作業とトップダウンによる指示の繰り返し。
推進の結果、社員からは高い評価の声が

このようにして操作方法は理解をしてもらえたものの、その後はコンタクトを入力する社員と、しない社員がはっきりと分かれました。選定したリーダーにも自身の業務があるため、コンタクトを入力したかどうかまでは管理しきれなかったのです。

これに対し、推進の責任者である私と決裁者である副社長の2人で毎朝、各社員のスケジュールとSansanのコンタクトを突き合わせする作業を1カ月間続けました。入力していない社員には直接連絡し、入力を依頼しました。時には、副社長よりしかるべきタイミングでトップダウンの指示を出してもらうことも。利用定着のため、これを粘り強く繰り返しました。

このような地道な努力の結果、導入1カ月後には8~9割の社員にSansanが定着。若い社員が残したコンタクトに対し、世代が上の社員はアドバイスなどのコメントを残すという動きも生まれました。これによって、社員間のコミュニケーションも促進されました。

この頃には、先行して使用していた社員から、他の営業社員の行動履歴や他の拠点の動きが可視化されたという声も上がってきました。また技術スタッフからは、営業社員が顧客から受けた技術的な要望が把握しやすくなったというような評価も。さらに、コンタクト機能を活用して、顧客との会議だけでなく、社内会議の議事録を残すという独自の使い方により、社内での会議も可視化されたのです。

Sansanは情報の宝箱。
蓄積した情報を、事業継承の礎に
アンケートで満足度100%を実現。
さらなる成長と持続的な発展を目指して

導入から3カ月後、名刺管理とコンタクト機能について社内アンケートを実施した結果、営業・技術スタッフ・工場スタッフなどすべての部門に所属する社員がSansanに満足しているという回答でした。コンタクト機能が役に立っていると回答した社員は6割。創業以来85年の間、可視化できていなかった人脈やノウハウの蓄積が実現したのです。満足度の高さが、情報に価値があることを証明してくれたと思います。当社にとって必ず有益なものになると信じ、導入時から普及まで粘ったかいがありました。

Sansanは「情報の宝箱」です。蓄積した情報を会社の財産とすることで、事業承継と100年企業に向けた礎になると考えています。継続した情報の蓄積は、この礎を強くし、企業としてのさらなる発展を後押しするはず。その景色が見られることを、今から楽しみにしています。

編集後記

転職で入社後まもなくして業務改善を担当することとなった可部さん。粘り強く社内決裁に7カ月をかけて導入を決めていただいたという情熱のこもったエピソードをお聞きして、活用支援担当者として身の引き締まる思いでした。導入後の利用定着に向けた創意工夫のお話は、導入推進に悩みを抱える方に気付きを与えてくれるのではないでしょうか。

 

カスタマーサクセス部  太田

※ページ上の各種情報は2020年11月時点のものです。
社名
大谷塗料株式会社
事業内容
高級木工塗料の製造・販売
資本金
6,150万円
設立
1950年
この企業と同じ
従業員規模 50〜199名の事例
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