1日あたり1,000円UP。
生産性を高める仕事術
私は、土木建築部門の責任者ということで、社内外ともに関わる方が多く、対応しなければならない業務が多岐にわたっています。仕事量も膨大なため、徹底的な効率化が求められます。そこで、2つの観点を大切にしています。一つは、“スピード”です。早く終了できるタスクを見極め、100点満点中80点でもいいから、成果を挙げることを重視し、上流で仕事の流れを止めないようにしています。
もう一つは、価値が高い仕事を厳選することです。そのとき、基準にしているのが“時給換算”です。自分の月給を時給に換算すると、自分が1時間働くことに、会社がどのぐらいのコストをかけているかわかります。それと照らし合わせると、「この業務は自分がやるよりほかの手段のほうがコストを抑えられるのでは?」と判断がつきます。この“時給換算”の考え方は、常に頭の片隅にありますね。
では、価値の高い仕事とは何かというと、“アウトソースできないこと”です。例えば、前例のないプロジェクトのときは、これまでの経験がものを言います。当社において、私は技術者としての経験が豊富なメンバーの1人なので、こういったプロジェクトの場合には、自分の手を動かして設計します。本来であれば、部長という立場において私がやるべき仕事ではないかもしれません。しかし、あえて手を動かすことには大きな意味があります。部門のトップが新しいプロジェクトで新しい知見に触れ、肌で感じたことを“生きたナレッジ”として部下にトップダウンできるからです。もちろん、設計に関してはお客様や現場によって同じものは一つもないのですが、手法やポイント、注意事項は引き継げます。そうすれば、次からアウトソースできるプロジェクトの幅が広がりますよね。結果的に会社のコストダウンとなり、部門としての生産性を上げられるというわけです。
一方で価値が低い仕事はどうするかというと、アウトソース以外だと、ツールを活用しています。むしろ、新しいツールは好きなほうです。新しい構造計算ソフトが出れば、どんどん申請して導入します。
名刺管理ツールのSansanを現場で真っ先に推薦したのも私です。実は、それまでは名刺管理を諦めていました。膨大な業務のなか、先ほどの“時給換算”で考えるとどうしても優先順位が下がってしまうからです。結局、机の引き出しに大量に眠らせて、使えない名刺になりました。メールのやりとりに残っていること以外に頼れるのは自分の記憶だけ。それでもわからなければ、営業担当に聞きまわったり、最悪、代表電話から再度問い合わせたり、ということもありました。だから、経営企画部からSansanの導入を検討していると聞いたときは「こういうのがやりたかった!」と飛びついたんです。
Sansanを利用し始めてから、業務の質が向上しました。例えば先日、通勤中にお客様からお電話があり、ちょうど最寄り駅だったので急遽伺うことにしました。Sansanでお客様の名前を検索すれば、住所や過去にお会いしたかどうかをチェックできます。お客様先の受付でも、検索した名刺の画像を見せると、すぐに案内してもらうことができました。また、コンタクトで前回の案件についてメモを残しているので、スムーズに内容を思い出すことができ、先回りしてお客様のご要望に応じた提案をすることができました。商談についても、訪問後、帰社するまでの間に重要事項をメモしておけば、のちのちのトラブル防止にもなります。しかも、これらの作業は全てスマホのアプリを使えば移動中のスキマ時間でできるのです。これはとてもメリットだなと感じます。
他部署との情報共有も便利ですね。以前はメールのCCや、添付ファイルで共有されていたのですが、忙しいと煩雑になって見ていられなかったんですよ。それが今はコンタクト通知メールやメッセージで共有できるので、いつでも確認できるようになりました。
Sansanを使うようになってから、業務が大幅に効率化され、お客様対応の質も向上しています。私の1日あたりの単価が1,000円ぐらい上がったのでは?と個人的に思っています(笑)。
このような仕事術は、今のポジションになってから身につけたものです。若いころは、一つのことをじっくりやるのが好きでした。ところがポジションが上がることで、すべてを抱えるのは物理的に不可能になりました。ルーチンワークを始め、やらなくていいことはしない、と決めたのはここ数年のことです。契機となったのは、2年ほど前から会社が工事の売上を一人あたりの利益で換算する指標を掲げたこと。そこから、「自分の価値は金額にするとどれぐらいか?」と考えるようになり、“時給換算”という考え方にたどり着きました。
Sansanを利用するようになってからは、自分の価値に“人脈”も紐付いていることを強く意識するようになりましたね。特にプラント業界は狭いので、一度会った人と再会する可能性が高い。そのときに過去に頂いた名刺が手助けとなり、新たなビジネスの種が生まれることもあるはずです。今では、レセプションに参加すると初対面の方の名刺を積極的に集めるようになりました。名刺=人脈資産と捉えると、「名刺交換こそが自分の付加価値を高める近道になる」といっても過言ではないのかもしれません。
”仕事術”というと、ハウツーの話に寄りがちです。そんななか、近さんが語られたのは「何事も、お金に換算する」という、とてもシンプルなもの。簡単なようで、実は、こういった視点を持てている人は少ないのかもしれません。また、近さんのように、名刺=人脈資産という捉え方をすると、「名刺交換」に対する意識も変わります。ぜひ、ご自身の付加価値を高める近道として、読者の皆様も名刺交換の機会を大事にして頂ければと思います。
カスタマーサクセス部 安野