社 名
コベルコシステム株式会社
事業内容
コンサルティング、システムインテグレーション、アウトソーシング
創業
1987年7月
PROFILE
森 郁雄 さん
執行役員 ソリューション営業本部長
岩本 琢磨 さん
営業推進部 営業企画グループ グループ長
杉山 順人 さん
業務改革推進部 業務改革推進グループ 担当課長
森さんは若手社員の声をきっかけに「チームで戦う営業」への変革をけん引しました。岩本さんは営業施策の設計力を発揮し、Sansanを短期間で本格稼働へと導いた立役者です。杉山さんは現場に寄り添った改善を積み重ね、可視化と共有による全社情報連携を支援。三者それぞれの役割と専門性が組み合わさることで、「攻めの営業DX」を実現しています。
若手の声から始まった、名刺の「見えないつながり」を「組織の資産」に変える決断
属人化する名刺情報で「個人商店」になりがちだった

森さん:Sansanの導入の起点は、営業活動のDXプロジェクトの一環として行われた、中堅・若手社員によるフリーディスカッションでした。そこで、名刺が個人管理に依存しすぎているという課題が浮き彫りになったのが発端です。
特に、新卒・中途社員が増える中で、「誰がどのお客さまとつながっているのかが分からない」という声が多く上がっていました。当時の名刺管理は完全な個人依存型で、名刺がデスクや名刺ファイルに埋もれて管理されていない状態でした。
また、従来の名刺管理では「組織としての接点」が見えず、営業活動の効率や連携が阻害されていました。営業担当者が自分の担当している顧客しか知らないと、どうしても個人商店になりがちです。
基幹システムの営業では、1案件当たり数億円規模を長期で扱う場合もあります。そのため、個人に依存した名刺情報の管理では限界がありました。そこで、顧客との接点を「個人の資産」ではなく「組織の資産」として共有し、個人商店から脱却した「チームで戦える営業体制」へ移行する必要があると考えたのです。

クロスセルの起点をつくるための可視化戦略

森さん:弊社は営業部門がプロダクトごとに分かれており、「そのお客さまは他部門の管轄だから」という認識が浸透していて情報共有が進まない状況でした。その結果、情報が部門内で止まり、非効率な営業活動が生じていたのです。例えば、中堅・若手社員が過去の訪問履歴などの情報もなく営業先を訪問したところ、「別の担当者が過去に訪問していた」という事態が発生していました。情報が共有できていれば、こうした活動履歴も事前に把握できたはずです。

杉山さん:全社的に「誰がどの顧客と接点を持っているか」を可視化するためには、情報の共有が必要でした。そこで、名刺情報を可視化できるサービスとしてSansanを選定しました。Sansanの導入は、営業活動を広げる戦略として、クロスセルを促進する土台の構築にもつながると判断したのです。

デジタル接点が生む、営業知の共有と行動サイクルの進化
名刺のデジタル化で接点を可視化し、履歴を「使える」ものへ

杉山さん:また一方で従来の営業活動履歴は、外出先からの入力が難しく、情報のリアルタイム性に欠けているという課題もありました。そこで、まずは紙の名刺をSansanでデジタル化することを起点として、部門を超えた情報の可視化を段階的に実施し、全社展開をしました。次に営業がコンタクト機能を活用し、「誰が・いつ・どのような活動を行ったのか」をリアルタイムで共有。この結果、点在していた情報が一元管理され、戦略策定に直結する「活きたデータ」へと変わりました。

営業活動報告システムを1か月で移行。テンプレート活用とモバイルファーストがカギ

岩本さん:営業のコンタクト活用は旧システムとの並行運用を2カ月と想定していましたが、1カ月で移行が完了しました。予定より移行期間に手間がかからなかった理由は、Sansanが標準で用意しているテンプレートの存在があったからです。整備されたテンプレートのおかげで、既存運用をスムーズに置き換えることができました。また、営業現場での定着を意識し、モバイルからの利用を前提に設計しました。現在ではログインの約半数がスマートフォン経由となっており、「どこでも登録できる」利便性が現場での定着を後押ししています。

「やらされる」を越えるための仕組みと巻き込み
利用率を上げる「見える化」とSansanとの連携

森さん:全営業部員のコンタクト登録を目的に始めましたが、人によって利用頻度に差があったため、毎月のログイン数や登録件数を可視化できる仕組みを取り入れました。
「毎月誰がどれだけアクセスしているか・登録しているか」というデータを営業部員向けに出すことで、自分の状況を振り返るきっかけを提供しました。原始的ともいえるこのアプローチが、活用の自発性を促す結果となりました。

岩本さん:実際には「使い方が分からない」といった声も寄せられましたが、その際はSansanのカスタマーサクセスと連携し、勉強会や活用事例の共有を実施しました。「やらされる」という捉え方ではなく、自然に巻き込むような定着を目指し、現場の声を拾いながら改善と教育のサイクルを回すことを意識しています。

活動登録2.5倍。データが会話と行動を生む

岩本さん:2024年10月に営業活動報告をSansanのコンタクトへ蓄積することを決定しました。移行後の運用も2か月程度で定着した結果、営業活動報告が昨年の同時期と比較して2.5倍に増加している状況です。さらに、単に数字が増えただけではなく、「この活動はいいね」「こうすればもっと効果的かも」といったフィードバックの会話が自然に生まれ、行動変容にもつながっています。

杉山さん:また、弊社では役員から部長、マネージャーといった階層構造を前提に、組織構成を毎月更新してユーザー登録をしています。多くの社内システムがこの構造を前提にしていること、自分の組織や下位組織のメンバーが「どのような名刺を最近交換しているか」をマネジメントする側が簡単に把握できるようにすることが目的です。
この仕組みが具体的にどの程度の貢献をしているか、定量的には測れていませんが、少なくともマネジメントする者が自分の組織を意識し、全体を俯瞰(ふかん)して管理できる状態を支えていることは確かです。

岩本さん:課題とまではいきませんが、Sansanのコンタクト機能に対して「宛先入力が煩雑」といった現場の声もありました。そういった現場の声に対しては、グループ設定や通知運用などを導入し、使い勝手を改善している状況です。その点は、Sansanの方からのアドバイスによって解決へと取り組んでいます。Sansanの導入においては、初めの壁を乗り越えるところがポイントだと思っています。「まずはとことん使ってみる」という文化を重視し、前向きな姿勢を組織に浸透させる点が重要ではないでしょうか。

Sansanの多様な機能を取り入れ、未来を見据えた「攻めのDX」へ
営業は「足で稼ぐ」から「データで仕掛ける」へ

森さん:今後は、従来の「足で稼ぐ営業」からデータに基づく科学的な営業活動への転換が不可欠です。「営業DX」といったデジタルを活用して実践と検証を繰り返し、いかに営業を戦略的に進化させていくかが重要だと考えていますが、その中心にあるのが、Sansanというプロダクトです。現在は、営業推進部がSansan Labsで利用を試しています。例として、社内ミーティングの議事録作成や商談前の情報収集の効率化では、すでに効果を期待できる手応えを感じています。それだけではなく、名刺や活動データを基に、顧客との接点状況・トレンド・業績などを一目で把握できる多様な機能が、今後の営業戦略における意思決定を支えるツールとして大きく期待しています。これからも、使える機能は「とことん活用」というポジティブな考え方で捉えていき、全社的な展開を目指していくつもりです。Sansanの優れている点は、名刺の電子化や活動報告の蓄積だけではありません。AI活用などの最新テクノロジーをSaaS型のサブスクリプションとして機能アップして、提供してくれる点です。今後は、「Sansanのデータがあったから業績が伸びた」「営業の成長につながって新たな引き出しができた」と実感できるレベルまで活用を高めていきたいと考えています。

編集後記

営業本部を中心にSansanを活用し、「個人商店」から脱却して情報を組織の資産へと変えられたことは大きな成果だと感じています。実際に活動登録数は2.5倍に増え、データが行動や会話を生み出す好循環が生まれました。さらに今後は、こうした蓄積を基に科学的な営業活動へ進化させようとされており、Sansanを利用する多くの企業にとって参考になる事例だと思います。担当として伴走できたことに感謝し、今後のさらなる展開を楽しみにしております。

カスタマーサクセス部 森

※ ページ上の各種情報は2025年9月時点のものです。
社 名
コベルコシステム株式会社
事業内容
コンサルティング、システムインテグレーション、アウトソーシング
創業
1987年7月
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