Sansanを利用し始める前の頃の事のことは良く思い出します。当時はまだ営業経験が浅く、お客様に関して持ち合わせている情報も少なかったので、何かと苦労していました。経験がない。つまり、持っている武器が少ないわけです。攻撃力ゼロの状態でお客様に体当りしても、話を聞いてもらうことなどできません。「お客様とのつながりが無いのであれば、人脈のありそうな人の伝手を頼ろう」と思って、片っ端から支店に電話をして、社内でお客様のことを知っていそうな人を探すということがよくありました。
個人で思いつく範囲の中での情報収集なので、そもそも有力な情報を持っている人の特定ができていなかったのでしょう。苦労して電話をかけたのに、得られる情報はほんの一握りということが多くありました。また、たとえ名刺交換の事実まで確認できたとしても、過去どんな状況で名刺を交換したのかまでは記憶が曖昧な人が多く、結局は、お客様との会話の中で持ち出すことができなかったこともありました。正直、個人の記憶をたどって情報を集めることには限界を感じていました。
まさに晴天の霹靂でした。お客様の会社名を「全体検索」するだけで、過去に名刺交換した社内の人物が即時で確認できるのですから。しかも、個人の記憶を頼っていたときよりも情報が正確です。名刺交換日を見れば、得られる情報の量や質もだいたい想像がつきます。直近に名刺交換しているのであればホットな情報を持っている可能性が高いので、私はいつも名刺交換日が新しい人に声がけをするようにしています。電話で情報収集していた頃と比べると、格段に時間がかからなくなりましたし、事前準備の情報量が多いので、提案内容もかわってきます。自分の営業力を強くしてくれる武器を得たような気分ですよ。
社内での紹介依頼に関しては、基本的には電話を通じて行っていますが、最近では、「メッセージ」✳︎ でも同じことができるようになりました。「全体検索」で対象のお客様の名刺を検索し、名刺の所有者を確認後、名刺の画像にカーソルを合わせると、「この名刺について同僚と会話」というバーが出てきます。ここからメッセージを呼び出すのが楽でいいですね。支店に電話をかけ回っていた頃は何時間もかかっていたことが、今では5分でできるようになりました。
私たちのいる建設業界では、一つの建物を建てる際、依頼主であるお施主様、建物を設計する設計事務所、私たちのような建物を建てる建築事業者、建物の中身を作るインテリア事業者等、非常に多くの関係者がいます。直接的な取引はなくても、同じ建物を建てることが最終目的なので、打ち合わせに同席したり、工事現場で立ち会ったりすることがあり、名刺交換の機会も当然多くあります。言い換えれば、こういった何気ない名刺交換の機会が、案件につながるチャンスでもあります。
ある日突然、東京支店の営業メンバーからメッセージが送られてきました。内容は、とある設計事務所さんの紹介依頼でした。聞けば、「営業が進めようとしていた案件で、その設計事務所さんが保育園の設計をしているという情報が入ってきた。けれども、自分はその事務所さんとの面識はなかった。Sansanで全体検索してみると、横浜支店の私が名刺交換していることがわかったので紹介をしてほしい」とのこと。その設計事務所さんとは、私自身、直接お取引が合ったわけではなく、神奈川で保育園の新築工事をさせていただいたときに、関係者同士の打ち合わせでたまたま同席して名刺交換した方のものでした。
絶好のチャンスだと思って、早速、面会のお願いをしました。もしかしたら相手の設計事務所担当者さんは、私のことはあまり覚えていなかったかもしれません。しかし、保育園建設の共通話題が助けとなり、快くお話を聞いてくださり、面会時には上司の方まで同席いただくことができました。そして、まだ初期情報の設計計画についても、他社に先行してお話しいただくことができたのです。お施主様にも、当社については、同じ案件で設計事務所さんと実績があったことから、良い印象を持っていただけているようです。「たまたま居合わせて名刺交換しただけ」だと思っていたのに、そのつながりが社内の誰かのキーマンだったということが、本当にあったのです。Sansanを使わなかったら、絶対に気づくことができなかったと思います。
保育園の案件以降、「人脈」についての意識が変わりました。社内のつながりをまずは見つける。そして、そのつながりを上手く活かすことができれば、お客様とつながるチャンスになるかもしれません。過去、自分が面会していなくても、社内の誰が、いつお会いしたのかをお話するだけで、相手は心を開いてくれるかもしれません。いまでは「まず検索」を徹底し、社内の人脈を確認することを必須にしています。個人の思いとしては、こうしたちょっとした心がけが、今後ユーザ全体に浸透していけばいいなと感じています。
今回、人脈の気づきから受注までのエピソードをお聞かせくださった松永さん。彼がこのような理想的な成果を出すことができた背景には、「社内の伝手探しをSansanで可能にする環境」が社内で構築されていたことにあります。それは、ユーザの皆さんが、交換した名刺をタイムリーにSansanにスキャンすることが習慣化されているということです。記事を読まれる皆さんは、伝手探しの文化とともに、スキャンの文化が浸透しているかどうか、まずは振り返ってみてはいかがでしょうか。
カスタマーサクセス部 安野