不動産仲介のノウハウ活用にあり。
当社には入社1~7年目の社員で構成される「若手会」があります。月に一度、業務時間内に会合を開き、業務における日常の気づきや改善を希望する点など、役職者では考えつかないようなアイデアを会社に提言してもらうという取り組みです。若手会実施後には総務や経営層の方々への報告会を開催するのですが、私自身も報告会のメンバーとして現場の意見を聞き、「この意見はこの部署にぶつけてみよう」、「営業現場のことならば私が進め方を考えよう」というふうに、実現に向けて推進する役割を担っています。実際これまでにも、カーシェア・バイクシェアの導入や、コーヒーメーカーの入れ替えなど、現場でしか気づかない、ボトムアップの意見を採り入れたアイデアが多数採用されてきました。
この若手会の中で2年ほど前に出たのが、「名刺管理システムとしてSansanを導入したい」という提案でした。
私もSansanのCMは見ていましたし、名刺管理のソフトウェアだということは知っていて、「同業他社でも入れているようだし、使ったら便利なんだろうな」とは思っていました。しかし、たとえ便利だったとしてもコストに見合ったメリットがあるのか説明できなければ会社は導入しません。
そこで、単なる名刺管理で終わらせることなく、本当に会社にとって利用価値があるのか確かめるために、20名でのトライアル期間を6か月間設けて、有用性の検証をすることにしました。この20名は年齢層・部署・地域を分散させ、様々な立場から検証できるように構成しました。また、名刺管理以上の価値を見出すために、機能制限をすることなく全ての機能を自由に使ってもらい、意見を挙げてもらいました。
トライアルの結果としては、「使ってみたら便利だし、みんなで使えば良いと思う」という意見が多数でしたが、一方で「営業と総務の人でも活用の濃淡が分かれそうだし、ITツールが好きか嫌いかによっても利用度合いがバラつきそう」という意見が出ました。
経費精算や稟議を上げるためのシステムは、それがないと仕事が進まないのでやらざるを得ませんが、Sansanはあくまでも生産性を向上させるものであり、使わない人は使わなくても仕事ができなくはないのです。しかし、本格導入を実現させるにあたっては一部の人だけの生産性を上げても仕方ないので、みんなが使えるツールにする必要がありました。
そこでトライアルの対象者に、それぞれの立場においてどういうふうに使いたいのかというニーズをヒアリングした結果、みんなが絶対に使うのは年賀状作成と名刺の整理だと分かりました。比較的取り組みやすく心理的ハードルも低いと感じましたので、まずはこの年賀状作成と名刺の整理をファーストステップにして、「みんなが」便利だねと実感してもらうためのスモールスタートから始めたのです。
会社としてはコストがかかる話ですから、多くの機能をなるべく早く駆使して、生産性を高めてもらいたいという要望があるはずですが、「全員が使えるようになり、ステップアップした機能を使いこなせるようになるまで2~3年は見てください」という計画で進めさせてもらえるように交渉しました。
不動産業界の仕事の進め方の特徴として、あるゴールを設定すると、そのゴールに行き着くまでどういうことが起き得るのか、非常に綿密な整理をしてから物事を進めていくということがあります。
ビルの売買のように大きな取引においては、細部に気を配って交渉を進めないと、ちょっとしたことが後々大問題になりかねません。企業同士の取引ですから、双方の取締役会の日程はどうか、社内決済を通すまでの期間はどれくらいかかるのか……。取引ごとに行程は全く違いますが、それらをすべて勘案して交渉を進めていかなければならないのです。
Sansan導入のプロジェクトもこれと同じで、会社に対してはどういう提案の仕方が良いのか、現場に対してはどういう説明が良いのか、すべて綿密に組み立てて導入を進めていきました。
検討開始が平成28年5月、トライアル開始が翌6月、全社導入が同年12月と、本格導入まで非常にスピーディーに進みましたが、その後の活用については、綿密に計算しハレーションが起きないようにゆっくりと慎重に進めているのが現状です。
顧客リストが属人的で、面談データの名寄せができないといった課題は、Sansan導入ですぐに解決しました。年賀状の作成はもちろんですが、全社でリストを簡単にメンテナンスできるというところが、最初の運用をうまく軌道に乗せられた理由だと感じています。
その後、段階を踏んで活用度合いを深めていきましたが、現在で最も力を入れているのは、コンタクト機能を使い面談記録を共有するというものです。
私たち不動産仲介業の仕事は、いろいろなお客様の情報をマッチングさせることでビジネスにつなげているので、面談記録が非常に重要です。しかし以前当社で管理していたシステムにおいては、記録は入れたらおしまいで、入れたものを見るためにはわざわざ「見に行く」ことが必要で、情報を十分に活用しているとは言えない状況でした。
しかしSansanのコンタクト機能を使えば、名刺に紐づけて面談記録を蓄積することができますし、メッセージ機能を使えば情報を上司や部下、他のチームメイトに、選択的に展開することが簡単にできるため、大きな可能性を感じています。
具体的な活用として、既に物件情報の部内共有に使っています。前日に入手した貸物件情報をメッセージで共有し、借りたいニーズを持っている営業マンが、「その物件情報は、◯◯会社のニーズに合うので紹介します」といった返信をすることで、今までよりもスピーディにお客様へ提案することができるようになりました。まだ一部の部門のみで使っている機能ですが、今後活用の輪を広げていきたいと考えています。
当社は200人程度の規模ですから、最先端のシステムを扱う人が多くいるわけではありません。そのため、Sansanから提示してもらえる新しい仕事の仕方、業務の生産性を上げるための取り組みは非常にありがたいです。
また私たちが出す改善要求にもすぐに対応してもらえるので、ただ提供されているサービスを利用するというだけではなく、私たちは自分たちがやりたいことを、Sansanからは新しい提案を、お互いに共有して進んでいければ、共に成長していけるのではないかと期待大です。
インタビューの終盤、Sansanからの提案や新しい機能が日々の業務に役立っているとのコメントを下さった田中さん。いつも積極的に新機能を活用頂き、すかさずフィードバックを頂けるので、田中さんのご意見を元に改良された機能も多数あります。引き続きご意見を頂きながら、皆様のお役に立てるプロダクトになっていければと思っています。
カスタマーサクセス部 福澤