JT(日本たばこ産業)のPR部門は、メディアや広告代理店と良好な関係を築くため、リレーションマネジメントに重点をおいています。そのため「人脈を大事にする」という文化が根づいており、接する方のたばこの好みやよく利用される飲食店など、パーソナルな嗜好(しこう)まで細かく気を配っています。
これらはSansan導入前は、それぞれの社員が「個人知」として持っていたものでした。そのため、初めてのお客さまに会う場合、自分の知る範囲で接点のある社員を探し、情報を収集する必要があったんです。これには結構な手間がかかるので接点がわからないままお会いすることも少なからずありました。「個人知」を見える化して共有すれば、もっと業務を効率化できるのではないか、という思いは常日頃から抱いていましたね。
そのような中、2015年ごろから、関係者との接点を社内で共有しようという動きが具体的になってきました。2016年にはCRMのシステムを導入し、名刺情報をもとに各人にそれぞれの接点や、やりとりの情報を登録してもらうことになったのです。名刺情報の取り込みにはSansanを利用し、デジタル化された名刺情報をCRMに転送するという連携を試みました。
これで情報が集約されるかと思ったのですが、社員それぞれがお会いした人の名刺をスキャンするため、同一人物で複数のレコードができてしまう問題が発生してしまいました。そこで、手作業で情報を集約してマスターレコードを作成することに。どれがマスターかわかるように特別な記号をつけるなど、アナログ対応で補おうというアイデアです。これには非常に労力がかかりましたね。しかも名刺情報はどんどん増えますから、定期的にデータのクリーニングが必要で、終わりのない作業のように思えました。
これではらちが明かないということで、相談したのが当社のIT部です。ここは全社のシステム導入や、環境整備を一手に担っています。各部門が導入するシステムも、IT部が検証のうえ推奨するものから選ぶスタイルになっています。システムまわりの相談もそこで一手に引き受けているため、レコードが重複する問題を解決する方法はないか、問い合わせました。この相談のなかで、「Sansanのコンタクト機能を使い、顧客管理のプラットフォームを一本化してみてはどうか」という提案を受けました。
正直なところ、Sansanは名刺管理のシステムという認識だったため、「そういう使い方もあるのか!」と驚かされました。名刺情報はもともとSansanにあるため、移行に伴う現場の負担は最小限で済みましたし、さらには、CRMシステムの利用をやめることで、年間約150万円のコスト削減にもつながりました。
CRMを利用していたころは、接点情報を登録するにもマスターレコードを探す必要があったため、少なからず負担がありました。Sansanに一本化してからは、Sansan上で名寄せされるため、レコードが複数できてしまう事態は解消できました。また、Sansanのスマートフォンアプリであればスキマ時間にコンタクトを登録できます。これはCRMにはなかった大きなアドバンテージでした。
手軽に登録できるようになったことで、「パーティーで会った」「ゴルフを一緒に回った」など、細かな接点情報も蓄積されるようになったのは大きな収穫でした。それまでは担当者を見つけて、わざわざ聞かなければわからなかった具体的な接点を、簡単に共有できるようになり、細かくて手間のかかる業務時間を大幅に短縮できました。
また、このような細かな情報のシェアによって、初めてお会いした方でも「弊社の○○がお世話になっています」と話題が広がり、こちらへの信用感の高まりを肌で感じられるようになりました。
当社は、部門ごとにどのようなシステムを利用するかを決めています。Sansanを導入している部署はほかにもありましたが、活用度合いもさまざまで、それらを共有する意識もなかったため、ACL*がかけられていたんです。
そのような中、組織間の名刺情報を共有し、人脈を見える化していこうというプロジェクトが発足されました。これは、JTグループWAYとして掲げている、「多様な力の結集」の実現に向けた取り組みの一環です。各部門からプロジェクトメンバーが選出され、運用方法などの議論を重ねた結果、PR部門と渉外部門間のACLが開放されることになりました。
私はちょうどそのころ、PR部門から渉外部門に異動となりました。渉外部門はメディアや広告代理店のほか、著名人や芸能人などを始めとして、各界のオピニオンリーダーとリレーションをとっています。
PR部門と接点のある方も多く、情報共有できるようになったことに大きなメリットを感じています。というのも、みなさん当社のVIPとなるため、以前お会いしたとき、どのような場所をセッティングしたのか、 というような情報が非常に参考になるからです。特に、VIPとの人脈の多い部長クラスには、コンタクト機能の積極活用を促しています。
Sansanによって、社内でクロスオーバーしている接点が見え、コンタクト機能によってどのように接しているのかという、人脈の質感までがわかるようになってきました。これらが何年にもわたって積み重なることで、世代を超えた“縁”に発展するのではないかと期待しています。
例えば、一緒に仕事に取り組んだ方がキャリアアップされて、より発言力を持たれるようになるかもしれません。そして、次の世代の社員が「昔、○○とお仕事させていただいた際は、ありがとうございました」と信頼をつないでいけば、より高いレイヤーで途切れることなく関わりを継続できるはずです。
一人ひとりの出会いが全社のつながりとなり、脈々と受け継がれる。これは、Sansanよるイノベーションといえるでしょう。将来、そのような世界観を実現することが理想ですね。
いつお会いしても朗らかで、細かなおしゃれにも気を配られている平山様。『さすがは企業のフロントマン!』というお姿には、お会いする度こちらも背筋が伸びる思いです。CRMからコンタクトへの移行、ACLの一部撤廃など、私も一緒にお仕事させていただいて大変光栄でした。末長いご活躍を祈念しております。
カスタマーサクセス部 柘植