当社は、人工知能などの新規技術をベースとしたDX(デジタルトランスフォーメーション)支援やシステム開発、及びIT人材調達支援を行うITベンチャーです。今期で13期目となります。このような事業柄、Salesforceのカスタマイズ導入も行っており、社内への導入自体は開発環境を用意する目的で行いました。ただ、実は以前から顧客の分析には力を入れており、Salesforce️での顧客管理は分析をさらに進める上で「データの起点」になるのではないかと、期待をしていたのです。そこで最も多くの顧客情報を持つソースとして、注目したのが名刺でした。
当初はSalesforce️に情報を一つひとつ手入力していたのですが、多くの項目を打ち込まなければならず、誰もやりたがりませんでした。本当は企業情報やパーソナライズされた情報を入れたかったのですが、それ以前に基本情報を打ち込むだけで大変だったのです。そこで、まずは効率的な情報蓄積をしようと、採用したのがSansanです。はじめは、役職者とマーケティング担当者という限定的なメンバーで使い始めました。
一部のメンバーということもあり、問題なく運用に乗り始めました。さらに名刺管理としての利用だけでなく、名刺情報をSalesforce️と自動連携したいという元々の目的から、Sansan Data Hubも導入しました。企業情報などのリッチな情報が付与されるという点も決め手でしたね。これにより、名刺情報の共有がSansan上で行えるだけでなく、Salesforce️にも自動で連携するという経路が整いました。
このようにフローを整え運用してみると、役職者以外のメンバーでもキーパーソンとの接点を持っているケースが散見されました。その人脈をないがしろにしてはならないという考えから、Sansanの利用範囲を全社に広げることにしました。最終的に戦略的なマーケティングにつなげていくため、漏れなく全員が持っている名刺情報を集めたかったのです。
しかし以前、新しい経理システムを導入した際に大炎上したことがあり、Sansanを全社員に受け入れてもらえるのか正直心配なところがありました。そのため、他の推進担当と議論をしながら慎重に進め、まずは受け入れやすいであろう営業部隊から進めていくことに決めました。
同時期に、獲得した案件などのKPIをSalesforceへ入力させるようにしました。現場にわかりやすくSansan導入のメリットを示すことが狙いです。Salesforce️へ基本情報を入れる必要性を生じさせた上で、「情報を手動で入力するのは大変ですよね。Sansanに名刺を取り込むだけで入りますよ」と訴求したのです。これに加えて、出社した際には声がけをするなど、地道な活動も続けていきました。
徐々に取り込みを進めていき、全社員の名刺をSansanに取り込んだ頃には、Salesforce️のデータ数は4,000件増加していました。リードが多すぎて、SalesforceからMAツールへ連携する数をコントロールする必要が出てくるほどです。うれしい悲鳴ですよね。この点については、見込み顧客にSansan上で特定のタグを付けるというルールを決め、社員に周知し対策を行いました。これだけ既存のリードがあれば、新規開拓にわざわざお金をかけなくて良いな、とも思いましたね。
この頃には、ユーザーから積極的に質問も出るようになり、Sansanが現場に使われるようになったな、と実感しました。
現在、コロナ禍の影響で名刺交換をする機会は減りました。しかし、全社的にデジタル名刺が主流となっており、変わらず名刺情報は獲得できています。デジタル名刺への抵抗は全くなく、むしろ「オンラインで交換できる名刺が欲しい」と問い合わせが来たほどです。名刺は資産だという認識が根付いたのだと、改めて感じた瞬間でした。
現在はメルマガを月に一回配信しています。名刺情報を継続して蓄積し、Sansan Data Hubで連携することで、約9,000件のメルマガを配信できるようになりました。Webから流入したリードのみだと数百件なので、これもSansanとSansan Data Hubのおかげですね。
加えて、メールの反応率が最も高いのが、Sansanから連携されたデータということがわかっています。メルマガへの返信があった際には、社内の名刺の持ち主につなぐという動きが定着してきました。潜在顧客の堀り起こしができていますね。
Sansan Data Hubで付与されるリッチな情報も、マーケティングのみならず営業の戦略立てに活用しています。具体的には、企業情報の中にある従業員、売上高などでアプローチすべき企業の優先順位を付け、その後、役職ランクで当たるべき人を振り分けていく、という使い方です。
他の企業データベースもつないでいるため、Sansan Data Hubで付与される情報を掛け合わせて、事業部ごとにターゲット条件を設定し、優先度の高い顧客からアプローチできるようになりました。
Sansan Data Hub導入前は、例えば新規リードを100件獲得した、新規の営業で5件訪問した、といった濃淡のない営業報告がされていました。それが今では、例えばリードが1,000件あれば、そのうち最も優先度の高いリードが50件、次に高いリードが20件、そのうち10件を案件化できれば予算を達成できる、というように、営業のヨミが定量的かつ精緻に計れるようになりました。データを基準としたターゲット選定により、営業の仕方も変わり、アカウントベースドマーケティングができるようになってきたと感じます。このことで営業効率が大幅に向上しました。お客様との接点も増えて、結果的に当社への満足度も上がってくると思っています。
今後も分析を進め、営業活動をさらに戦略的に進められたらと考えています。具体的にはまず、良いタイミングでアプローチを仕掛けることをやっていきたいです。そのために、名刺交換した相手の名刺が更新された際に自社で持っている名刺の情報も更新されたり、3年連続売り上げ増・経常利益増、など長期的な推移が見られたりしたらうれしいですね。今後もSansanと、Sansan Data Hubの進化に期待しています。
すてきな笑顔が印象的な久保さん。今回、Sansanを全社でご利用いただくまでの経緯や、Sansan Data Hubを使ったデータ活用について語っていただきました。
デジタル名刺を社内でどう普及させようか悩まれる企業様も多い中、「名刺をオンラインで交換できる機能はないのか」と営業の方から積極的に問いあわせがあったというのは、利用を促進する側からしても大変うれしいリアクションです。
Sansan、そしてSansan Data Hubの両プロダクトをフル活用してくださっている久保さんのお取り組みには、目が離せません。
Sansan Unit 前田