有馬さん:セイノーロジックスは、海上混載輸送を専門とする海運会社です。小口をコンテナに混載して海外に輸送するサービスをメインとし、多岐にわたる輸送サービスを展開しており、昨今では「海運業界DXのパイオニア」を目指し、様々な取り組みを進めています。私の所属するイノベーション推進部はまさにその中核を担う部署で、Sansanを導入したのも、当社の営業活動やマーケティングのDXを促進するプロジェクトの一環です。
我々がSansanの活用をスタートしたのは2021年1月。導入の背景にはまず、当時進行していた基幹システムの刷新がありました。旧システムと新システムでは、データの移行が困難だったため、新しくCRMツールを導入し、そこに顧客情報を集約する必要があったのです。そんなときに出会ったのがSansanでした。
他のサービスも比較検討したのですが、Sansanは導入ハードルが低く、顧客情報を簡単に取り込み、それを全社で共有できるという点が、とてもシンプルかつ魅力的でしたね。Sansanの導入前は、顧客情報の管理を社員それぞれの方法に任せていたため、記憶や紙媒体など、共有が難しい形で管理する状態となってしまっており、会社の財産である顧客情報の管理体制を根本から見直す必要性を感じていました。Sansanを活用することで、顧客情報の管理体制が最適化されれば、この課題が解決され、営業活動やサービス提供の平均化を図れるのではと考えたのです。また、当時はコロナ禍に伴いリモートワークを導入しはじめた時期だったので、それまで対面でできていた情報共有を、オンラインで補完する必要があり、Sansanにはその点も期待していました。
有馬さん:これらの狙いについては、確実に良い結果が得られていると思います。Sansanにより、顧客情報管理の最適化が一気に進み、顧客との適切なコミュニケーションや海外パートナーとのスムーズな情報共有にも繋がっているほか、リモートワークへの切り替えもスムーズに進みました。
それだけではありません。蓄積した顧客情報を、営業やマーケティング施策にワンストップで活用できる点にもメリットを感じています。特にOne to One形式のメール一括配信機能は、顧客の掘り起こしに重宝していますね。直近では、このOne to One形式のメール一括配信とアンケートオプションを組み合わせ、顧客の潜在ニーズの把握などにも役立てています。
菅野さん:Sansan導入に関して、直接的な機能面以外の点でメリットに感じているのは、社内でDXを推進するための良い足掛かりになった点です。というのも、Sansanは導入ハードルだけでなく、活用のハードルも低く、ユーザーは、名刺情報をはじめとした顧客との接点を直感的かつ簡単に取り込めますし、それがほぼリアルタイムにデータ連携されます。ユーザーフレンドリーであることが、社員のDXに対する精神的なハードルをぐっと下げてくれたと感じています。
有馬さん: 菅野のいう通り、Sansanは接点の取り込みが容易にできるだけでなく、その対象がオンライン・オフライン問わず多岐に渡っている点も、魅力的だと感じます。コロナ禍に伴い、顧客との接点が多様化する昨今においてはなおさらです。たとえば、メールの署名を取り込んで名刺情報として蓄積できる「メール署名取り込み」機能は、我々も重宝しています。
メール署名取り込みを使い始めた背景には、コロナ禍以降、対面での名刺交換の機会が減少し、メールでのやりとりだけで取引を開始するケースが増加したことがありました。実際、一度も名刺交換をしたことがない顧客やパートナーが散見されていました。これでは、顧客情報を蓄積することができません。手動で蓄積しようにも、メールの署名を手動でリスト化する場合、とても手間がかかってしまいます。しかしメール署名取り込みなら、簡単にメールの署名を名刺情報としてSansanに取り込めますから、貴重な接点情報を手間なく蓄積することができるようになります。
菅野さん:メール署名取り込みを浸透させるにあたっては、目的と活用メリット、運用ルールを明確にする点を心掛けました。
はじめてメール署名取り込みについて私から社内に案内をした際には、活用の目的やメリットを明確に案内できておらず、それほど浸透が進みませんでした。この反省を踏まえ、目的とメリット、加えて運用ルールを明確にしたうえで再度周知を行いました。有馬をはじめとした経営層も巻き込みながら、目的や運用のルールを定め、5月末に活用推進メールを発信するに至りました。その後の浸透はとても順調でした。
有馬さん:菅野をはじめ、現場の推進メンバーにはかなり尽力してもらい、おかげで、浸透がとてもスムーズに進みました。加えて、メール署名取り込みそのものの操作性が簡単である点も大いに寄与したと考えています。最初に管理者が連携設定を済ませてしまえば、ユーザーはボタンひとつで取り込みができるようになりますから。
有馬さん:実際に活用を開始してからも、メール署名取り込みのメリットは大いに感じています。現在、メール署名取り込みによってSansan上に取得できている顧客情報は、月間約300件にも及びます。名刺交換の代替手段として、顧客情報を蓄積するために役立っていますね。
菅野さん:業務効率化の観点でも、メール署名取り込みの価値を実感しています。以前は顧客にメールをする際、担当者の過去メールをとにかく遡って探すしか手がありませんでしたが、今ではSansanを見れば適切な連絡先が瞬時にわかるので重宝しています。データの取り込みさえしておけばいつでもどこでも確認できるので、業務効率も上がりましたし、リモートワークでも仕事場の垣根なく同じ情報にたどり着けるのは本当に大きなメリットになっています。
有馬さん:今後Sansanを使って取り組みたいことは、3つあります。
ひとつはSansanを顧客情報を蓄積する基盤に据え、データの取り込み・拡充を行っていくことです。これは当社に限った話ではないと思うのですが、複数のクラウドサービスを使っていると、どのサービスを基盤と捉え、データを整理するべきかが議論になると思います。そんな中、なぜ我々がSansanを基盤と考えているか。その理由はSansan上にある「情報の正確性」と「取り込める接点の多さ」にあります。前者についていうと、名刺やメール、コンタクトから得られる情報の正確性は、かなり高いと感じています。後者についても、Sansanは「コンタクト」や「案件」、「アンケートの回答」など、顧客とのあらゆる接点情報を蓄積できますから、顧客に関する情報基盤として使用すると、社内での情報共有が容易になり、顧客管理としてとても有用ですよね。
次に取り組みたいのは、Sansanに蓄積した情報を、ほかの様々なシステムに連携させることです。これによって、顧客の分析やその結果に基づいた営業やマーケティング施策に役立てていきたいと考えています。
そして最後が、企業DBを活用した新規開拓先の特定や、アプローチのための戦略策定です。ポテンシャルのある新規顧客を拾い上げるのは、本当に大変なこと。私が入社したての頃は、新規顧客のアタックリストを作成するために、様々な業界誌から情報を拾ってきて、エクセルに打ち込むという作業を行ったものです。しかし、Sansanの企業DBを利用すれば、接点の有無や業種や売上、従業員数といった軸で企業情報を絞り込んで抽出ができます。ですので、前述したような手間はまずかからないですし、社内の誰かと接点があったことも容易に把握でき、どうアプローチすべきかという戦略を練ることもできる。足と営業の感覚だけが頼みだった従来の営業方法から随分と様相が変わりますが、データを用いて裏付けのある営業活動ができることで、会社全体で考えると相当プラスに働く変化だと感じています。
これら3つの取り組みにより、データに基づいたサービスの開発や、顧客に寄り添える営業の在り方など、個々の記憶や能力に頼ることなく会社全体で取り組んでいける体制作りに役立てていきたいと考えています。そうすることで、「国際物流を通じて、お客様に喜んでいただける最高のサービスを常に提供し、国家社会に貢献」するという我々の掲げるミッション実現にも近づけるのではと考えています。
「海運業界DXのパイオニアになる」と熱い想いを掲げる有馬さん、社内のDX化に尽力される菅野さんにお話を伺いました。自社のミッションのためまずは自身の背中を見せてイノベーションを起こしていく姿勢が最速の立上につながったと感じています。
システムを業務に落とし込み変革を生み出していく体制づくり、是非参考にしてみてはいかがでしょうか。
カスタマーサクセス部 松本