当社は、シミュレーション、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)、データ分析、人工知能(AI)に関するソフトウエアおよびクラウドソリューションを提供する企業です。1985年にアメリカ・ミシガン州にて創業され、1996年には私が所属する日本支社が設立されました。
私たちのサービスをご利用いただいている顧客は、ファイナンス、自動車メーカー、重工業、防衛分野(ミサイルなど)など多岐にわたります。私を含めた日本支社メンバーの役割は、こうした国内の顧客に対し最新のソリューションを提供することと、日本特有のニーズに応えるため、製品のカスタマイズや国内市場に合致した製品設計の提案や技術移管を推進することです。
そんな当社がSansanを導入したのは、2022年11月までさかのぼります。当時、導入の目的は大きく2つありました。
1つ目は、名刺情報の有効活用です。当時社内では名刺管理が属人化しており、ロッカーに眠ったままになった名刺が社内に数多く存在していました。これらをSansanに集約することで、名刺にひも付く個人情報を厳格に管理するとともに、人脈情報を有効活用しようと考えました。なお人脈情報の有効活用については、特にSansanのメール配信機能に大いに期待していました。というのも、当時からMAツールを導入していたものの、マーケティング部署のメンバーのみが利用可能で、営業部門がメールを一斉送付できるツールがなく、実施しようにもアナログな手法で配信するほかに手段がありませんでした。Sansanのメール配信であれば、操作方法が簡単で利用するハードルが低い点に加え、名刺情報という正確かつ最新の情報を用いたアプローチができるため、可能性を大いに感じたのです。
2つ目は、営業活動の効率化と活性化です。具体的には、引き継ぎの効率化と簡略化です。当社においては、組織変更などで営業担当が変わるケースが多く、Sansanを導入する前は情報がしっかり引き継げていないケースが少なくありませんでした。これをSansanで解消できないかと考えたのです。また、Sansanの企業情報を、ターゲットの検討や日々の営業活動に用いることで、営業活動を活性化できないかという狙いもありました。
Sansanの導入により、引き継ぎに関しては以前より漏れなく効率的に実施できるようになりました。また、名刺情報の有効活用という観点では、ほかにもSansanを用いたメール施策の実施による効果を実感できています。
具体的には、これまでマーケティングチームが配信していたものに加え、営業部からもSansanのメール配信機能を用いたメール一斉送付施策を実施できるようになった点です。Sansanを導入する前は、前述したように作業工数の問題もあり、営業部から定期的な情報発信が十分にできておらず、メールに対する問い合わせは年間でわずか38件ほどでした。
しかしSansanを導入することで作業工数を削減し、大幅に配信対象数を拡大でき、問い合わせ数は2024年9月までで年間約400件にも増加しました。また、こうした問い合わせから案件化につながっている例も報告されており、今後の成果にも期待が高まっています。
さらに、Sansanの企業情報を活用した営業活動も社内で進んでいます。具体的には、新規顧客開拓のチームによるリスト作成が効率化した点が挙げられます。そのスピード感は、ウェブサイトで検索しリストアップしていた頃とは比較になりません。業種や従業員規模をはじめ、さまざまな検索軸で企業の絞り込みが可能なため、非常に重宝しています。
販売戦略のミーティング中に、約360件ものアタックリストを直ちに作成できた事例もありました。営業の動き出しが早くなったのは、言うまでもありません。
Sansanの導入に当たっては、社内向けの機能説明ページの作成や説明会の開催に取り組みました。また、メンバーがSansanというサービスに関心を持ってくれるよう、バーチャル背景の作成を企画しました。
ただ、Sansanの活用に対する温度感の違いを感じるシーンは多々ありました。営業部門は、メリットを直接感じやすいためスムーズに浸透しましたが、技術部門の名刺情報の取り込みが思うように進みませんでした。そこで、Sansanの利用頻度が著しく低い社員に対して個別にアプローチしました。その際に心がけていたのは、Sansanを活用するメリットをしっかり伝えることです。ただ義務として対応を促すよりも、その後の浸透にもつながるため効果的です。
導入後の活用推進については、推進チームを発足して情報発信しています。主に営業部門から選出されたメンバー4名に私を含めたチームです。選出で工夫した点は、Sansanの活用に積極的なメンバーと、消極的なメンバーを半々にしたことですね。当時、一度もSansanにログインしたことがないメンバーもいました。あえて推進チームに巻き込むことで、いや応なしに利用することを自覚してもらえたらと思ったのです。
この狙いが功を奏してか、消極的だったメンバーも、今では積極的にSansanを利用するようになったほか、周囲への影響力を発揮してくれています。自分があまり活用に積極的ではなかったことが、同じような状況にあるユーザーへの理解につながっているのではないかと思っています。
現在当社では、営業活動の生産性向上が求められています。そのため、顧客との接点情報を社内でより共有できるようにし、有効活用する必要があります。しかし現状、営業部門についてはSalesforce®での情報共有は可能ですが、技術部門のメンバーはアカウントがなく、手入力で二次データを作成し、共有し合うほかありません。そこで私が期待しているのが、Sansanのコンタクト機能です。現在、技術の統括に話を持ちかけ、この機能の利用について内容を詰めている最中でして、ぜひ実現したいと思っています。
また、コンタクトの利用が定着したら、その情報をAPIでSalesforceにつなげ、例えば1カ月の活動履歴をたどれるようにするなど、さらなる営業支援施策も展開していきたいと思っています。Sansanの持つ、さまざまな接点を集約可能にする特性を存分に生かして、ビジネス成果につなげていきたいですね。
メール配信機能の活用をはじめ、Sansanを用いて大きな成果を創出されたアルテアエンジニアリング様。その裏側には、導入時から推進者としての役割にひたむきに向き合っていた井本様の姿がありました。あえてアクティブではないユーザーを推進活動に巻き込むなど、堅実に推進活動を進める一方で、創意工夫もされており感銘を受けました。今後とも、アルテアエンジニアリング様と井本様の躍進が楽しみでなりません。
カスタマーサクセス部 松本